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松島 - カモメよこの手に -

日本三景は、安芸の宮島、天橋立、そこまでは 言えるのだけど、東北は宮城県の「松島」だけは、 すぐには出てこないのが南国の人間。

その松島で、島めぐりの遊覧船に乗った。 船はけっこう大きくて、天気もよかったので、 心配していた揺れもなく快適。 しかし、私の目は、乗り込んですぐ、一枚の張り紙に 吸い寄せられていた。

カモメのえさ 100円。

こういうのに弱いのである。 えさって、なにかなぁ。まさか、水族館でアシカにやるような 小さい魚じゃないよね?

船が動き出すと、さっそく売店らしき場所へ。 もう、カモメにえさをやらねばおさまらない。 動物とのふれあい、とかいうよりも、 幼な子の頃からのトラウマに近い何かがあるんじゃないかと 私は思っているが、それはさておき、 えさは何ですか?

え、えびせん。
これは、コンビニ仕様の、ミニ袋入りえびせんですね。 つまり、スナック菓子。いいのかな。 楽な仕入れだな、それにしても。 でも、やってみたい。そうか、どうせ海の水は 塩辛いんだから、えさの魚だって相当塩分あるよね。 化学物質なんて、魚にもたまってるって。 無理やり納得して、えさを買う。

後甲板に出ると、いるいる。 カモメの群れが、執念で船を追ってくる。 けっこうスピードが出ているから、追うのも大変だろうに。

指でつまんで、船べりから与えようとするが、うまくいかない。 近くに飛んで来たカモメに投げてみたが、これも うまくいかないどころか、軽すぎる獲物に翻弄されたカモメは、 3羽やそこら、バシャっと船尾の水流へダイブしてしまい、 「あーあ」という顔でこっちを見ている。 これは…大変かもしれない。 困っていると、船のおじさんが助け舟を出してくれた。

持ち方が、なってなかったのである。 親指と人差し指で、えびせんの両端を持つ。 そうしてえびせんを海面と並行に持っていたら、 カモメが急降下してくるので、タッチした瞬間に、 ぱっと離す。要領はこれだけ。

われながら、すごく要領がよかった。 持ち方を知ってからは、カモメを落とさなかった。 群れの数は30羽以上いるみたいだが、かたまっているので どの鳥が次に舞い降りてくるのか、ぎりぎりになるまで わからない。来た、と思ったら、えびせんを 離す心構えをしなければいけない。

そして、くちばしが触れた瞬間を狙って、指を開く。 しっかりとえびせんをくわえたカモメの横顔が、 一瞬だけ止まったかのように私の目に焼き付き、 重力に近いスピードで離れてゆく。

ただ、けっこうカモメのくちばしは大きいので、 勇気がいることは確か。 大きい鳥もいれば、やせ細ったのもいる。 大きいカモメのくちばしは、当然大きい。 この船は島めぐりをしているのであって、 カモメのえさやりのための遊覧ではないから、 島を巡りながらけっこうカーブする。 それに合わせて飛ぶカモメたちは必死である。 かなり、翼の鍛錬になっていると私は確信する。

2回ほど指をつっつかれたが、 それでもえさやりの快感には勝てないのだった。 小さい袋でも、けっこう数が入っていて、 ぜんぶやり終えたころには、カモメたち全員に行き渡って いるのじゃないかな、と思った。

潮風にまみれても、ワンダーな体験であった。 落としてしまったカモメたち、ごめんね。(マーズ;010704)

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