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ア ラ バ マ (2)

*** 森の中の家 ***

アラバマ州最大の都市バーミングハムはどこにでもあるような普通の地方都市で すが、かっては鉄鋼で栄えた「鐵の街」でした。 町の規模は現在は日本の小さな県庁所在地程度…のはずなのですが。

たしかに、小さなビルの立ち並ぶダウンタウン周辺は「街」になってはいますが、 町はぐるりと緑の山々に囲まれて、不思議な事に住宅地があまり見当たりません。 みんなどこに住んでいるんでしょう? 「北は治安が悪くなったからね、南に住んでいますよ。」 南?南って山でしょう?高くはないけれどいやしくもアパラチア山脈のはずれ、こ のまま100マイルは山のはず。実際、空から見ても一面の緑、人など住んでいる ようには見えないのです。

けれど、まあ、住む所を探さなければ。

で、案内の人に南に車で連れていってもらいました。 ダウンタウンから広大な大学の敷地を抜け、道沿いに郊外型の巨大マーケットや グロッサリーストアが姿を現し、ほら、もう町は終わって緑の木々の中へ。緩やか なカーブを描く山道を登り、直滑降の坂を下り、両脇の森の中に時折見える教会の 尖塔の他は住居らしきものは見えません。突然開けたかと思うとそこは小さな店と グロッサリーストアが集まったこじんまりしたショッピングモ?ルです。それ以外 は人っこ一人歩いていない山の中です。

でも、それにしては変です。人がいないのに何故教会やお店がこんなにあるので しょうか。ときどき道に小さな木の立て札が立っているのは何なのでしょうか。

そうです。人々はここに住んでいたのです。ただ、それが道路からや空からは見 えないのです。

彼等の住居は、一面の樹木に囲まれていたのですから。 日本でも住宅地は山の手にある事が多いですが、それでも日本人は日射しの降り 注ぐ生活が好きですからよっぽど敷地が広くない限り、すっぽり建物を隠してしま うことはないでしょう。特に新興住宅地は遠目にも分りますよね。

でもアラバマ人は大きな樹の木陰に暮らしています。夏、摂氏40度を超えるよ うな日射しの強い土地ですし、日本より乾燥しているので日が当たらなくても湿っ ぽくはなりません。もともとベッド生活だから布団は干さないし洗濯物は乾燥器。 それに多くは落葉樹なので、冬には葉が落ちて陽が射すようになります。

と、いうわけで、後になって一人で深い森を迷っていると突然白亜の大邸宅が緑 の奥に現れたり、本当の山の中なのに道に可愛いメールボックスが並んでいたり、 となかなかお伽話風な景色をあちこちで見ることが出来ました。

…ふいに案内の人が、青い立て札の所で道路から林の中に車を乗り入れました。

林が切れるとそこは、山有り川有りプール有りのだだっ広い敷地の中にレンガ色 の二階立てアパートが点在するアパート群でした。この敷地全体で一つのアパート、 お友達の部屋に行くにも車になります。外を人が歩いていない訳です、徒歩では 日が暮れてしまいます。

こうして私はダウンタウンから車で15分、栗鼠だの洗熊だの袋鼠(オポッサム) だの物真似懸巣(モッキングバード)付きの、バルコニーは広いけど布団は干し ちゃいけないアパートの一室に落ち着く事になりました。

緑の森は綺麗です。朝晩は小鳥達の囀が響きます。

しかし、冬になって樹々の葉が落ちた時、そこにはまたとても素敵な光景が繰り広 げられたのでした。(ナルシア)

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