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土曜日、仕事の帰りに近所の図書館に寄ってきました。 途中で本屋さんにも寄り道をして、 絵本やらエッセイやら、数冊の本を買って帰るところでしたが、 何だかまだ、足りないものがあるような気がしていました。
閉館間近の館内は人もまばらで、 曇天の空を映してか、淋しげな空気の中で、 何を探すともなく、コンピュータで最近の本を検索したり、 書棚と書棚の間をあてもなく、行ったり来たり。
何かに惹かれるように足を止め、 ふっと、足下の一番低い棚を見ると、 見覚えのある懐かしい本が。 急に、胸が一杯になりました。 「あ。私の本。」 棚に4冊の本が、表紙を上にして仲良く並んでいます。
そう、この4冊は、私がもう10年近く前に図書館に寄贈した
子ども時代の思い出の本だったのです。
「だれも知らない小さな国」
「シャーロック・ホームズ」
「二十四の瞳」
・・・
貸し出し記録を見ると、 どの本も1度は貸し出しがあって、 本によっては、頻繁というわけではないけれど、 定期的に誰かが借りていってるようでした。
かつて私の本棚にあったものが、
今でも誰かに読み続けられている。
しっかりと、図書館の蔵書の一部になっていると、
そう思って見回してみると、
今まで棚の中に埋もれていた私の本が、
たくさんの本の中から、ひときわ目立って見えてきました。
あ。
これも、この本も。
あっちにある本も、やっぱり私の本。
懐かしさで一杯になります。
本をめくり、裏表紙に押された「寄贈」のスタンプ。
寄贈者の名前は書かれていませんが、
見間違うはずはありません。
どの本も長い歳月の中で、 ずいぶんと古くなってきています。 それでもずっと、現役で、 足を止める子どもたちに読みつがれているのです。
いつまでも子供たちと共にある本は、 幸せな本だけれど。 それでも。 思い出を手放したようで、 ほんの少し、淋しい気持になりました。
いつまでもいつまでも、 小さな「私」と共にありますように。
by シィアル;2002/05/21