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VICKSドロップのチェリー味。 ちょっと、毒々しいレッドと、 チープなチェリー味が、 イギリスに旅行に行った時に買い込んだ いろいろな風邪薬、のど飴を思い出させる。
旅行先では、おみやげにはことかかない。 見るもの、見るものが目新しく、 あるいは、見慣れているものでも、 ちょっとした洒落っ気がセンス良く映り、 手に触れるものすべてが、おみやげに早変わりする。
その中でも、特に気に入ったのが、 お湯に溶いて飲む風邪薬。 その効き目のほどは分からないけれど、 カシスやグレープ、オレンジなど 豊富なフレーバーに心惹かれる。 ジュースじゃないけれど、 子供の頃に飲んだ、チープな粉末のジュースを、 その色が、香りが、思い出させる。
とはいえ、薬なので、ちょっとした風邪を引くのを わくわくした気分で待って、英語で書かれた効能・説明書を いつになく丁寧に読んでから、 きちんと服用上の注意にも気をつけながら飲み干す。 おいしいようでいて、・・・微妙にまずい。 確かにカシス風味だけれど、変なクセがある。 それもそのはず、だって、薬だから。
そのまずさが、「良薬口に苦し」ねと、 奇妙な満足感。 心なしか、芯がぬくもってくる感じ。 薬を飲み干して、あったかくして 早々に眠り、薬が効いたのか、 早めに安静にしたのが良かったのか、 とにかく、翌朝には元気になっていた。
VICKSドロップを口に含んで、 微妙な薬加減を味わいながら、旅の空のことを思い出す。 風邪を引いても、仕事に追われて、 なかなか休養がとれないでいる。 いつかまた、旅行に行きたいな。 そう思うことで、束の間、仕事のプレッシャーを追い払い、 旅の記憶を辿り、再び旅をしているのだ。
by シィアル;2002/02/09