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随分昔のことになった。
子供の頃。
生きることについての憂いのなかった頃。
いや、幼い頃から不安の多い日々を送っていたから、
日々漠然と抱える思いが、人生への憂いだと知らなかった頃。
十二月は今ほどにぎやかな季節ではなかった。 クリスマスにはそれぞれの家にささやかなツリーがともる。 本物の木を切ってきて、ツリーを作った。 それがもみの木だったかどうか、今ではわからないが、 もみの木風ではあった。 バケツに大きな石を入れて、ツリーを立てる。 綿をちぎって、雪を作る。 ツリーのてっぺんには金の星。 チカチカと輝く、色とりどりの電球を飾ってツリーを作った。
にぎやかに食べたクリスマスケーキよりも、 貰ったプレゼントよりも、 家族と興じたゲームよりも、 温かく陽気に飾られたツリーよりも、 クリスマスの翌朝のしんと冷たい朝、 静かに立っているひっそりとしたツリーが。 目に鮮やかに焼き付いている。
「祭のあとの淋しさ」
そんな言葉を知りもしなかったが。
楽しいことはあっという間に過ぎ去ってしまう。
人生だって。
いつか気がつけば、過ぎ去っているだろう我が人生を
淡々と受け入れた朝だった。
7才頃のこと。
by シィアル;1998/12/10