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■ ファンタジー特集

-- 『指輪物語』(その7) --

☆ニーベルングの指輪物語

「持主に力と同時に破滅をもたらす指輪」といえば 「指輪物語」の「ひとつの指輪」と言う人より ワーグナーのオペラ「ニーベルングの指輪」と 答える人のほうが映画以前は多かったでしょうね。

そういえば「ニーベルングの指輪」の名前は 聞いた事あるけど曲は聞いた事がないという方。 ほら、大音量のクラッシック音楽にのってヘリコプターが ベトナムの戦場を飛ぶ、映画「地獄の黙示録」で有名になった 「ワルキューレの騎行」、あれがその中のひとつです。

上演に四日、総演奏時間が15時間にも及ぶ重くて長い楽劇ですが、 私はときどき徹夜作業の時などにビデオで通して流しています。 なんだかどんどん脳が危険な領域に近付いていくような 高揚感と陶酔感が生まれます。(←近寄らない様に)

では、こちらも長い「ニーベルングの指輪」の物語の中から 「指輪物語」と関連のある部分を。

醜い小人ニーベルング族のアルベリッヒが ライン川の乙女達から奪い取った黄金で力の指輪を作る。 神々の王ヴォータンがその指輪をだまし取ったため、 アルベリッヒが指輪に呪をかける:「序夜・ラインの黄金」

天駆ける戦場乙女ワルキューレの一人が 父神のいいつけに背いたため罰として眠りに入る:「第一夜・ワルキューレ」

若い英雄ジークフリートが折れた剣を鍛え直し、 森の洞窟で宝を守る大蛇(ヴォータンに指輪を 報酬として貰った巨人の変身した姿)を倒して 姿を変える兜と指輪を手に入れる:「第二夜・ジークフリート」

指輪を欲する人間の策略にかかって英雄は暗殺され、 衰退の様相を現していた神々の世界は燃え盛る炎の中に滅び、 指輪はラインの水底に還される:「第三夜・神々の黄昏」

ごらんの通り。「指輪物語」の「ひとつの指輪」は 北欧神話の神々と名高い英雄ジークフリートを ワーグナー作品の中で殺し、世界を滅ぼした 「呪いの指輪」の生まれ変わりです。

最終夜「神々の黄昏」の最後、 地上と天上の世界の終焉の中で、死せる英雄の指から抜き取られ ラインの乙女のもとに返され黄金に戻ったはずの指輪は、 長い歳月の後に冥王サウロンの手によって指輪に鋳直され 再び世界を危機に陥れるのかもしれません。

なんと恐ろしい宝でしょう。 ニーベルングの指輪をめぐって、 巨人は欲に凝り固まって仲間を殺し洞窟に隠れた、 その力を知る妖精達は持つ事を恐れる。 人間は身の程知らずにも指輪が欲しくてたまらない、 神々ですら指輪の呪いに蝕まれ滅びてしまった。 指輪の価値も恐ろしさも知らない屈託のない英雄だけは 無事であるかのように見えたけれど、やがて。 全ての者を陥れる指輪にまたもや世界は滅ぼされるのでしょうか。

そうはさせない。 人間よりも心の清く、人間よりも力を望まない、 質朴で勇敢な小さな人が、初めて歴史に登場してきたのです。 今度こそ世界を救うために。

ナルシア , 2002/04/25(Thursday)


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