読者への挑戦
「読者への挑戦」です。
「彩の呪」を解いて下さい。
そんな無体な、事件は?手掛かりは?と思われる事でしょう。
事件は、起りませんでした。
手掛かりは、もうお持ちです。
紫、茜、葵、碧。
この四つの名前。
これが、手掛かりです。
それが、全てです。
この四つの名前のうち、一つだけ他の三つと「違う」名前があります。
私が「彩の呪」と名付けた、四姉妹の名前の謎です。
そしてそれが、ただひとり恐ろしい「呪い」を受けた娘の名です。
それを、見つけて下さい。
ただ、この「呪」をかけた者の思いも及ばなかった事態により、「彩の呪」は発動
せぬまま終わりました。
「蜘蛛」の出現です。
「彩の呪」が本来の効力を発揮する以前に、それとは全く関係のない「蜘蛛」の
策略によって、織作家は瞬く間に崩壊してしまいました。
一族の因習と、一人の娘にかけられた呪いとともに。
後日。「絡新婦の理」事件そのものとは無関係なこの小さな失われた呪いに気付き、
私は戦慄しました。
これほど明白な「呪詛」にこれまで誰一人気が付かない訳がない。
きっと、皆気付いているのでしょう。そして誰一人口にしないのです。口にしては
ならないのです。
「彼」すらも、語らずに済ませるものならば決して語ろうとはしないのです。
もし、あなたがまだお気付きでないのなら。
お気付きになってはいても、気付かぬふりをされているのなら。
これから示す四つの名前の持つ「意味」をお読みになって下さい。
深い考察ではありません。簡単な語源だけのレポートです。
一つ一つは悪意のかけらもない、美しい、女性の名前です。
しかし、それが四つ揃った時、明らかな意図がそこに現れてくるのです。
その「意図」とは…ああ、それは最後までお読み下されば判る事です。
それとも、これは私の思い過ごしなのでしょうか。
単なる、偶然なのでしょうか。
それならば、どれほど良いことでしょう──
*以降の文中に付けられた脚注の多くは、
概ね本筋とは無関係な単語の解説や呑気な余談ですので、
結末をお急ぎの方は“紫─茜─葵─碧─祓ひ”の順に
お進み下さい。
順序を誤ると呪が──解けなくなってしまいます。
くれぐれもお気を付けて。
1998年12年
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